
家を建てるときに利用できることがある、国や自治体の住宅補助金。
「子育て世帯なら対象になるらしい」「省エネ住宅なら補助金が出るらしい」そんな情報を見かけたことがあっても、実際に自分たちが使える制度があるのか、どこで調べればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。
さらに住宅の補助制度は、毎年同じとは限りません。制度の名称や対象となる住宅、補助額などが変わったり、年度途中でも予算の上限に達すると受付を終了したりすることがあります。
そしてもう一つ知っておきたいのが、補助金は「条件に当てはまりそうだから、自動的にもらえる」というものではないこと。住宅の性能や建築する場所、依頼する工務店、申請時期などによって、利用できる制度は変わります。
だからこそ、家づくりを考え始めたら、「今年、私たちが使えそうな制度はありますか?」と一度確認してみるのがおすすめです。
今回は、令和8年度(2026年度)に利用できる国・岐阜県・市町村の主な住宅支援制度を例に、補助金の探し方や確認しておきたいポイントをご紹介します。
※この記事は令和8年(2026年)8月26日時点の公表情報をもとにしています。補助制度は内容の変更や予算上限による受付終了などの可能性があります。実際に利用する際は、必ず国・岐阜県・各市町村の公式情報や工務店等で最新の条件をご確認ください。
まずは、令和8年度に岐阜県で新築住宅を建てる際に確認しておきたい主な制度をまとめました。
制度 | 対象のイメージ | 補助・支援額 | 主な注意点 |
みらいエコ住宅2026事業(国) | GX志向型住宅 | 110万~125万円/戸 | すべての世帯が対象。地域区分・住宅性能・事業者等に条件あり |
みらいエコ住宅2026事業(国) | 長期優良住宅 | 75万~80万円/戸 | 子育て世帯・若者夫婦世帯が対象。一定の古家除却で20万円加算 |
みらいエコ住宅2026事業(国) | ZEH水準住宅 | 35万~40万円/戸 | 子育て世帯・若者夫婦世帯が対象。一定の古家除却で20万円加算 |
ぎふの木で家づくり支援事業(岐阜県) | 岐阜県産材を使用した新築住宅 | 15万~32万円 | 国補助金等と併用する場合は55%。施工工務店にも条件あり |
関市省エネ住宅購入等事業補助金 | 対象となる省エネ住宅 | 新築最大10万円 | 国補助金の交付、市内事業者による施工などの条件あり |
住まいる*せき応援券(関市) | 新築・建売・中古住宅を取得して定住 | せきpay 20万円分+加算あり | 子どもの人数や年齢等による加算あり |
大垣市ネットゼロエネルギーハウス普及促進事業補助金 | 対象となるZEH等 | 5万円 | 国の対象補助金を受けていることなどの条件あり |
大垣市子育て世代等住宅取得支援事業 | 一定の子育て・若年世帯等 | 3年間で最大30万円 | 住宅ローンの利子補給。世帯・住宅等の条件あり |
岐阜市まちなか居住支援事業 | 中心市街地の対象区域で新築住宅を取得 | 上限20万~50万円+子育て加算 | 対象区域・性能評価・住宅ローン等の条件あり |
※上記は2026年8月26日時点で確認できる主な制度を抜粋したものです。表に当てはまるだけで補助を受けられるとは限りません。必ず各制度の公式情報で最新の対象条件・受付状況をご確認ください。
補助金は「制度があるか」だけでなく、今も申請を受け付けているかを見ることも大切です。
国の「みらいエコ住宅2026事業」のGX志向型住宅は、第1期の受付がすでに終了しています。第2期は、2026年8月26日0時時点で、予算750億円に対する補助金申請額の割合が51%となっています。
また、注文住宅の新築のうちZEH水準住宅については、第2期の交付申請受付が2026年9月30日まで。ただし、予算上限に達した場合はそれより前に受付を終了します。
こうした状況は日々変わります。「使えそう」と思ったら、制度の対象条件と一緒に現在の受付状況も確認しましょう。

令和8年度の新築住宅で大きな支援となるのが、国の「みらいエコ住宅2026事業」です。
対象となる住宅は、大きくGX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅に分かれています。
GX志向型住宅は世帯を問わず対象となり、補助額は地域区分1~4で125万円、地域区分5~8で110万円です。
長期優良住宅とZEH水準住宅は、子育て世帯または若者夫婦世帯が対象。長期優良住宅は75万~80万円、ZEH水準住宅は35万~40万円となっています。
また、一定の条件を満たして古家を除却する場合、長期優良住宅とZEH水準住宅では20万円が加算されます。
ここで少しわかりにくいのが「地域区分」。これは気候条件などによって全国を1~8に分けたもので、同じ性能の住宅でも建てる地域によって補助額が異なります。
公式サイトでは住所から地域区分を確認できます。また、この制度は建築主が直接申請するのではなく、登録された住宅事業者が申請します。
「自分たちは対象世帯だから使える」と考えるだけでなく、依頼する工務店が制度に対応しているかも早い段階で確認しておきましょう。
国とは別に、岐阜県独自の住宅支援制度もあります。
令和8年度の「ぎふの木で家づくり支援事業」では、岐阜県産材を一定量使用して県内に木造戸建て住宅を新築する場合、使用量などに応じて15万円から最大32万円が助成されます。
国の補助金等と併用する場合は、通常の補助額の55%となり、県内新築タイプでは8万2千円から最大17万6千円です。
令和8年度の補助住宅申請受付期間は、2026年4月15日から2027年2月1日まで。工事完了前に補助金の申請枠を確保できる「申請枠登録」は、2026年9月30日までです。
2026年8月14日更新の岐阜県公式情報では、県内新築タイプの通常枠220棟に対して申請121棟、残り99棟。移住枠は10棟に対して申請8棟、残り2棟となっています。
ただし、募集棟数や予算の上限に達すると受付が終了するため、最新状況は公式ページで確認しましょう。
さらに、この制度は施工する工務店にも条件があります。岐阜県には、県産材を利用して住宅を建築する「ぎふの木で家づくり協力工務店」の認定制度があります。
県産材を使った家づくりに興味がある方は、「ぎふの木で家づくり支援事業は利用できますか?」「この制度を利用した施工実績はありますか?」と工務店に聞いてみるのもよいでしょう。
2026年7月21日時点の岐阜県「ぎふの木で家づくり協力工務店」認定者名簿と、イエレポ掲載工務店を照合したところ、掲載16社のうち5社が協力工務店として認定されています。
該当するのは、富田製材株式会社、有限会社柴木材、株式会社紙太材木店、鈴村建築株式会社、株式会社カネダイの5社です。
名簿上の掲載場所は、富田製材株式会社が3ページ「可茂 019」、有限会社柴木材が1ページ「岐阜 021」、株式会社紙太材木店が3ページ「可茂 021」、鈴村建築株式会社が3ページ「可茂 022」、株式会社カネダイが3ページ「可茂 011」です。
※認定状況は変更される場合があります。また、現在名簿に掲載されていない工務店でも、事業完了後に協力工務店の認定を受けることで補助要件を満たせる場合があります。制度の利用を希望する場合は、各工務店と岐阜県の最新情報をご確認ください。
中濃の関市では、令和8年度の「関市省エネ住宅購入等事業補助金」が実施されています。
新築住宅の補助額は最大10万円。国の「みらいエコ住宅2026事業」等の補助対象となる省エネ住宅で、国補助金の交付を受けること、市内事業者による施工などが条件となっています。
受付期限は2027年2月28日ですが、予算額に達した場合は期限前に終了する場合があります。
さらに関市には「住まいる*せき応援券」があり、住宅を取得して定住する世帯には20万円分のせきpayが交付されます。同居する18歳未満の子ども1人につき5万円、申請者または配偶者が40歳未満の場合は20万円の加算もあります。
西濃の大垣市では、「ネットゼロエネルギーハウス普及促進事業補助金」があります。
一定の条件を満たすZEH等を対象に、1件5万円を補助。令和8年度の募集件数は16件で、募集期間は2026年5月1日から2027年3月19日までですが、予算額に達すると受付終了となります。
また、大垣市には「子育て世代等住宅取得支援事業利子補給金」もあります。一定の子育て世帯や若年夫婦世帯などが市内に新築住宅を取得し、住宅ローンを利用した場合、各年度の利子支払額を年間上限10万円、3年間で最大30万円助成します。
岐阜市では、中心市街地の対象区域で新築住宅を取得する場合の「まちなか居住支援事業」があります。
住宅ローン借入額の10%以内で、市内転居の場合は上限20万円、市外からの転入者を含む世帯では上限50万円。さらに義務教育終了前の子どもがいる世帯は、1人20万円、2人30万円、3人以上40万円が加算されます。対象区域や住宅性能などにも条件があります。
このように、同じ岐阜県内でも、関市・大垣市・岐阜市など、家を建てる場所によって利用できる制度が違います。
市町村の住宅支援制度を探すときに基本となるのは、工務店の所在地ではなく、これから家を建てる場所です。
関市に建てるなら関市、大垣市に建てるなら大垣市の制度を確認します。
土地や建築エリアが決まったら、「○○市 新築 補助金」「○○市 住宅取得 補助金」「○○市 子育て 住宅 補助金」などで検索してみるのも一つの方法です。
ただし、制度によっては「その市町村に家を建てること」に加えて、施工する工務店や住宅会社の所在地まで条件になっている場合があります。関市の省エネ住宅購入等事業補助金も、市内事業者による施工が条件の一つです。
そのため、「○○市に建てるから使える」と判断するのではなく、制度ごとの条件まで確認しましょう。

国・岐阜県・市町村と複数の制度が見つかったら、「これって全部使えるの?」という疑問も出てきます。
補助制度は、条件を満たせば併用できるものがあります。ただし、「国+県+市なら必ず併用できる」というわけではありません。
たとえば「ぎふの木で家づくり支援事業」は、令和7年度から国補助金等との併用が可能になりました。国補助金等を併用する場合、「ぎふの木で家づくり支援事業」の補助額は通常の55%になります。一方で、岐阜県が実施する構造材・準構造材・内装材を対象とした他の補助金や利子補給との併用には制限があります。
補助金を複数利用したい場合は、制度名を具体的に挙げて、「この2つは併用できますか?」と、それぞれの公式窓口や工務店に確認するのが確実です。
年齢、子どもの有無、所得、転入・定住など、世帯に条件が設定されていることがあります。
GX志向型住宅やZEH水準住宅、長期優良住宅などの性能、使用する木材、住宅の広さなどが条件になる制度があります。
市町村だけでなく、対象区域が細かく指定されていたり、地域区分によって補助額が変わったりする制度もあります。
登録事業者による申請が必要だったり、市内事業者による施工が条件だったりする制度があります。
国・県・市町村それぞれに併用条件があります。利用したい制度を具体的に挙げて確認しましょう。
さらに、申請期限・現在の受付状況・予算残額も忘れずに確認を。補助金は「対象条件を満たしている」だけでは利用できない場合があります。
「補助金については、工務店が使えるものを全部教えてくれるのでは?」と思う方もいるかもしれません。
もちろん、利用できそうな制度を工務店側から案内してもらえることもあります。一方で、補助制度は国・県・市町村にまたがり、年度によって内容も変わります。住宅の仕様や建築地、世帯の条件によって利用できる制度も異なります。
そのため、気になる制度を見つけた場合は、「この補助金は、この家でも利用できますか?」「御社で建てる場合も対象になりますか?」「申請には対応していますか?」「ほかに併用できそうな制度はありますか?」と聞いてみるのがおすすめです。
特に補助金を資金計画に組み込みたい場合は、契約や着工の前に確認しておきましょう。

数十万円、制度によっては100万円を超える住宅補助金は、家づくりでは大きな支援になります。
ただし、「補助金がもらえるから」という理由だけで住宅の仕様や工務店を決めるのは少し違います。補助要件を満たすために仕様を変更すれば、追加費用がかかることもあります。
まずは、自分たちがどんな家を建てたいのか、どのくらいの予算で考えているのか。そのうえで、「この家づくりなら、使える制度はある?」という順番で確認していくのがおすすめです。
住宅の補助制度をすべて自分で調べ、条件を理解するのは簡単ではありません。
まずは、「国の制度+岐阜県の制度+家を建てる市町村の制度」があることを知っておく。
そして気になる制度を見つけたら、この記事の情報だけで判断せず、公式情報を確認して、工務店にも「これは使えますか?」と聞いてみる。
補助制度は毎年変わります。今年利用できる制度が、来年度も同じ名称・金額・条件で続くとは限りません。
これから家づくりを始める方は、資金計画と一緒に「今年はどんな制度がある?」を早めに確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。