
家づくりで「自然素材」を選びたいと考える方は年々増えています。無垢材や和紙、漆喰などは、見た目の美しさだけでなく、心地よい空気感や経年変化を楽しめることも魅力です。
しかし、自然素材は工業製品のように均一ではありません。それぞれの素材の個性を理解し、その魅力を最大限に引き出すためには、職人の確かな技術と経験が欠かせます。この職人の技術やものづくりへの姿勢を表す言葉が「クラフトマンシップ」です。
紙太材木店では、自然素材とクラフトマンシップを大切にし、一棟一棟丁寧に住まいをつくり続けています。今回は、自然素材だからこそ生まれる心地よさと、それを支える職人の手仕事についてご紹介します。
家づくりを考え始めると、建材選びという大きなテーマに出会います。住宅の建材には、大きく二つの系統があります。一つは工場で均一に生産される工業製品、もう一つは無垢材・和紙・自然塗料・石といった自然由来の素材です。工業製品は品質が均一で、施工のしやすさやコストの面でも安心感があります。一方で自然素材は、木目や色合いに個体差があり、湿度や温度によって少しずつ伸び縮みすることもあります。この「均一でないこと」は、工業製品の基準で見れば扱いにくさに分類されるかもしれません。けれど自然素材の世界では、それぞれの違いこそが味わいとして受け止められています。

たとえば無垢材は、呼吸するように室内の湿度をやわらかく調整してくれる素材です。和紙は光を直接通さず、ふんわりと拡散させるため、同じ照度でも当たり方がどこか優しく感じられます。漆喰や珪藻土は調湿性に加えて消臭性も備え、土壁は熱をゆっくり蓄えて、ゆっくり放してくれる性質を持っています。これらは数値だけでは測りきれない特性ですが、暮らしの中で肌で感じる心地よさに、静かに関わってくれる部分です。
紙太材木店さんは、こうした自然素材を基本仕様として大切にしてきた工務店です。
均一さや生産のしやすさを優先する設計とは、少し違う場所からスタートしているのかもしれません。
紙太材木店さんの家づくりを語るときに、よく登場する建具があります。「ガラリ戸」と呼ばれるものです。薄い板を斜めに並べた構造を持つ建具で、もともとは換気や通風のために使われてきました。

このガラリ戸は一枚で複数の役割を担ってくれる優秀な建具です。
まず、光をやさしく取り込む役割があります。ガラリの隙間から光が入るので、閉じていても室内が真っ暗にはなりません。次に風を通す役割。羽根の角度によって、外の風を取り入れながら、外からの視線はそっと遮ってくれます。さらに、住宅が密集した場所でも、ガラリを閉じれば見通しを防ぎながら空気の流れは保てるので、視線の心配をしながら窓を開ける、という気疲れが少し減るかもしれません。そして、空間と空間を緩やかにつなぐ役割も持っています。引き戸のように使えば、二つの部屋を完全に分けることも、ふんわりとつなぐこともできます。
一般的な住宅では、採光ならガラス窓、通風なら換気口、視線の制御ならカーテンやブラインドと、役割ごとに別の部材を使うことが多いものです。ガラリ戸はこれらを一枚の建具にまとめてくれる存在で、暮らしの小さな手間をそっと減らしてくれる工夫のひとつと言えそうです。

ガラリ戸や造作家具、建具の仕上げは、羽根の角度や板の厚み、取り付ける場所の採光条件によって一枚ごとに調整が必要になるため、手作業が欠かせない部分です。
紙太材木店さんの事例には、こうした手仕事の跡をたどることができます。
陽射しを取り込むガラリ戸

障子

造作の棚

たくさんの職人の技が一軒の家に集まりました。
これらは見た目を整えるための装飾というより、暮らしやすさを成立させるための手仕事です。既製品では対応できない寸法や条件に、職人さんの調整力でひとつひとつ応えてもらっている、というイメージに近いかもしれません。
自然素材は時間が経つと色合いが変わり、小さな傷や汚れもついていきます。年月を重ねることで質感が変わっていくこの変化を「味わい」と感じる人には自然素材を使は向いているのではないでしょうか?
工業製品は新品の状態を基準に設計されているため、経年変化はどちらかというと「劣化」として扱われがちです。
どちらが優れているという話ではなく、家に何を求めたいかという、出発点の違いなのだと思います。
住むほどに表情が変わっていくことをゆっくり楽しんでみたいという方には、自然素材は単なる建材以上の、暮らしの一部として寄り添ってくれる存在になりそうです。

自然素材と職人の手仕事から生まれる落ち着いた空間を体感したいかたは、20年前にリノベーションされた紙太材木店さんのショールームを見学することができます。実際に目で見て肌で触れたうえで、ご自分の感性に合うかどうか確かめてみてはいかがでしょうか?
株式会社 紙太材木店
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